伊丹谷良介トップページ伊丹谷良介プロフィール伊丹谷良介メディアページ伊丹谷良介ショップページ伊丹谷良介スケジュール伊丹谷良介ファンクラブ

| Asian Act Top |

2011年05月03日

ITAMIYA in LOS ANGELES → LAS VEGAS

itamiya_LV_1_DSC00647mini.jpg

急遽、久々にアメリカのロスとラスベガスに行く事になる。
今回のアメリカ滞在は曲の制作や撮影等、
なんやかんやと目的があったのだが、
とにかく久々のアメリカへ行く事に。
アメリカ滞在は自分にとって何よりの充電になる。
次の新たなアクションを起こす時には特にもってこいである。
この十数年、作品作りでアウトプットし続けれたのは
今までの人生のポイントポイントでアメリカの空気を吸えた事が、
作品をアウトプットし続ける上で大きな糧になっている。
その為のインプットも必要ということで、
今回も『よし、この時期にアメリカに行かねば!』
と直感的にも感じ、思い切って急遽、東京からロスに飛んだ…

今回はそんな久々のアメリカ ロス・ベガスのレポート…

べガス写真集.jpg

4月16日の晩、
HATAKEさんと京都のライブを終えて、
京都の会場からそのまま成田へ、
そしてそのまま飛行機で10時間近くかけて、
やっとロサンゼルスの空港に到着。

IMG_0008mini.jpg

ロスの空港を出ると、
カンカンの太陽にからっとした天気でふわりと心地よい風が吹く。
この空気はやはりここでないと写真や映像では絶対味わえない…

la-mountains.jpg

ロスの空港からレンタカーを借りて早速中心街に繰り出す。
ハリウッド・サンセットストリップ・サンタモニカ・メルローズを車で走る。
車中にはモトリークルー・プリンス・エアロスミスが爆音で流れる。
どこを見てもこの音楽にあった景色・人・太陽・風…
カメラを何処に向けてもMTVのシーンのようである。
洪水のように伊丹谷の頭の中はアドレナリンが放出する…
ロスは街全部が『ロックのテーマパーク』
やっぱロスは最高である。

DSC00640minimini-1.jpg

日本を含め、アジアでロックする事はある意味『戦い』だが、
この街はロック全てを肯定しているようにも感じる。
さっそく初日からロスは言葉にできないくらい心を癒してくれた。

3USALAXC0015.jpg


少年時代アメリカかぶれの伊丹谷はアメリカしか興味が無かった。
祖父の強い影響でアメリカの芸術・映画・音楽に触れ続けて育った。
その頃ははっきり言うと日本を含めアジアの文化を全部否定的に感じていた。
否定的というか、アメリカのもの以外無関心だった。
はやくアジアを抜け出したいとばかり考えていた。
しかし、19歳の時、念願のニューヨークに初めて行った時の経験で考えが変わった。
自分の産まれ育ったアジア人のアイデンティティーで
アーティストとして勝負しないとこの国では全く相手にされない事を直感的に知った。
当時、ROCKだけでなく、自分がルーツとなるカルチャーは
ファッションもアートもデザインも全てアメリカから影響を受けたものばかりであった。
でも自分の産まれ育った場所はアジア。
飯もハシで食うし、毎日米を食う。
家では靴を脱いで生活するし、日本語を話して生活してる。
自分はなんだかんだいってコテコテのアジア人であることに改めて痛感する。
そして、『自分はアメリカにはただ憧れていただけ』のことを知る。
これが19歳の夏。
この時以降、初めて自分がアジア人としてアジアの事を何も知らない事をかっこわるいと思った。
『アメリカで活動する為にも、まずは日本・中国等のアジアをもっと知るべきだ!』
と考えだし、帰国してからは能や雅楽等の日本の文化を取り入れた作品作りに没頭し、
その後、大阪から上京もせず、思い切ってアメリカとは逆方向の中国大陸に向かったのだが、
結果的には今、改めて振り返ってみるとアーティストとしては間違いではなかった気がする。
『憧れ』と真逆の場所で勝負しないと本質的には成長しない事はこの時に気付いた。
あの時、アメリカかぶれのままアメリカに移住してアメリカで活動する事を本気で考えていたら、
もしかしたら上手く行ったかもしれないが、今考えるとあまり良い結果になってないような気がする。
もし今後アメリカで活動する事があれば、
この10年間、アメリカでなくアジアで活動した事が今後の活動に絶対に役にたつ自信がある。
そういった意味でもアメリカは伊丹谷に『憧れ』から『追求』を教えてくれた。
それを教えてくれた事も含め、今もアメリカには感謝しているし、より深い魅力を感じる。
アメリカは人生の節々で伊丹谷を成長させてくれていた。
だから今でもこれからも人生の大切な時期の節々で
アメリカにいろんな事を確認しに行く事は自分にとってもの凄く大事な事でもある。
そんなことを考えながらロスの街並を車で走る…

アジアの音楽シーンもこの10年で大きく変化したが、
この十年でアメリカの音楽シーンも大きく変化した。
アジアもアメリカも共通して言える変化として
アジアのレコードショップもドンドン少なくなっているが、
音楽の天国であるロスにはもうレコードショップがほとんどない。
アメリカはもちろん、世界中がCDを買わなくなってすべてダウンロードになっている。
しかもほとんどが音源を買う事無く、無料でダウンロードして音楽を聴く。
ロスには『AMOEBA』というドでかい体育館のようなCDショップなどが一軒ほどあるだけ。

logo.png
http://www.amoeba.com/


CDが売れないのは今、世界中のアーティストが悩んでいる問題の一つであるが、
そもそも音楽を再生させる機械が産まれてからまだ100年も歴史がない。
でもコンサート等の興行は100年以上の歴史があり、
もっと言えば『ライブ文化』は人類始まって以降、千年以上の歴史がある。
別にCDが売れなくなったからといって、焦る事は無い。
音楽の歴史上で言うと、レコードやCDなんてもんは
長い音楽の歴史の中でほんの瞬間だけのものであったと考えれば良い。
もしかしてこの何十年かが音楽の歴史上おかしな時代だっただけなのかもしれない。
もう21世紀になって10年以上経つ。
これからの21世紀のミュージシャン・アーティストは
『CDが売れない…』と愚痴をこぼす前に、
音楽を仕事にしたけりゃ腕を磨いて現場で汗かいて死ぬ気でライブをすれば良い。
ライブが良ければお客さんはCDを買うし、また次のライブにも足を運んでくれる。
ただ、それだけの話。
基本的にアーティストは人間生身で勝負しなければ続かない。
これはおそらく22世紀になっても、同じであると思う。
また新しいメディアが誕生しようと、絶対に他力本願になってはいけない。

という意味でもこれからはアーティストにとってよりライブが命になってくる。
今回のアメリカ滞在の『追求のテーマ』それは『ライブ』である。

アメリカの『ライブ』と言えば、
ニューヨークのブロードウェイとラスべガスのショーである。
一般的にはラスベガスと言えば『カジノ』と思う人が大半だろうが、
バカ言っちゃ行けない!
我々アーティストにとって
べガスと言えば、『エンターテイメント』『ショー』『ライブ』の天国である!
ラスベガスは『カジノ』も凄いが、『ショー』がとにかく凄い!
世界中のあらゆる一流のショーがあの狭い街にギュッと凝縮されている。
毎晩、世界中のショーがわんさかと公演されている。
今回のアメリカ滞在の個人的な大きな目的はラスベガスの現地の一流のショーを見て、
アーティストとして今後の肥やしにする事でもある。

DSC00253.JPG

ということで、ロスをたっぷり堪能してから、いざベガスへ!
ロスからべガスまでのフリーウェイを車でぶっ飛ばす。
このフリーウェイがたまらん!
砂漠の中を走る永遠まっすぐのフリーウェイ。

DSC00226.JPG

道も広く、高速でぶっ飛ばしてもあまり速度は早く感じない。
道もでかけりゃ、なにもかもデカイ!
この道をぶっ飛ばせば、この国のハードロックのライブグルーブが
なぜアジア人には出せないか?を知る事ができる。
道一つとってもアメリカはやっぱアメリカなのである。
いろんなヒントがそこに隠されている。
ロスから4時間程車をぶっとばせば、あっというまにラスベガスに到着。

DSC00233.JPG

永遠砂漠の夜道をぶっ飛ばしたらいきなりギラギラと輝くネオンの街が見えてくる。

viva2-1.jpg

ネオンといってもハンパなく何もかもがギラギラしている。

DSC00205.JPG

そんな世界一ギラギラ輝く街 ラスベガスに到着し、一気に何本もショーを見る。
べガスの公演は一日のうち何回も公演している為、
見ようと思えば、短期間でショーを何本も見れる。
『PEEP SHOW』・シルクドソレイユ『Viva ELVIS』・『サンタナ』のライブ…
どれもこれも最高のショーであった。

DSC00211.JPG

santana hrh website.jpg

viva_elvis.jpg

viva4.jpg

(このショーの感想を細かく書いてしまうと死ぬ程長くなるので省略!)
舞台を職業にしている役者・ダンサー・ミュージシャン等は
とにかく借金してでも現地のラスベガスのライブを一度は見るべきである。
それだけ価値のあるものである事は間違いない。
自分を含めアジア人はもっともっと『舞台に立つ』という意識を
べガスのショーなどを参考にもっともっと高く意識を持たなければいけない。
舞台に立つ人間は絶対に『あぐら』をかいてはいけない。
それを今回のべガスのショーを数本見るだけでも改めて感じる事が出来た。

舞台上のショーはもちろん、
何より素晴らしいのはべガスの『オーディエンス(お客)』である。
やはり、アジアに比べて『お客』の質が違いすぎる。
子供も老人もラスベガスのお客はステージ上の演者にまけないくらい絵になるし、
舞台に負けないくらい客席の雰囲気が良い。

例えば『PEEP SHOW』

http://www.lvtaizen.com/_backnum/html/9054main.htm

は最近始まった『エロテック』をテーマにした
ショーとしてもレベルの高いエンターテイメント性溢れるトップレスショーなのだが、
お客の大半は女性である。
しかもその女性のお客はステージのねーちゃんにまけないくらいイカしたねーちゃんがいっぱい。

DSC00157.JPG

年配の夫婦がおしゃれしてこのショーを見に来たりもしている。
もぅオーディエンス自体が『ショー』である。
もしアジアであれを公演したら、
むっつりな下心だけで見るただのエロ吉野郎どもがわんさか集まり、
陰湿な雰囲気漂う下世話な客席の公演にしかならないであろう。
だからアジアはバカにされる。
一事が万事である。
いろんな意味で、日本とアメリカのショーは全く同じショーでも
まだまだお客が『結婚式』と『お葬式』くらい差がある。
それが良いのか?悪いのか?は分からないが、
お客を含めたショー全体の空間演出はこの国にはやっぱ負ける。
10代の時、初めてアメリカでショーを見てからずっとこれを感じ続けている。
特にロックのライブ等は最後にお客が舞台を完成させるものである。
それはアジアの演者にも大きな問題があるかもしれないが、
アジアと欧米では圧倒的にまだまだ文化が違う。
欧米は『衣・食・住』の中に『衣・食・住・芸術』がある。
大半の人は大きな意味で『芸術』というものが生活の中になかったら死んでしまう。
という意識がある。
残念ながらアジアには芸術全般において
一般人にその意識がまだまだ低い…
だから作品を提供する側も客層にあわした作品を提供するようになる。
まさに悪循環…
ていうか近代の社会の中でアジア人は大昔持っていたものを忘れてしまった。
特に日本は戦後『雑多』という文化を作ってしまったので、
なんか文化的なもの全てに混乱しているようにも見える。
中国なんかは『追い抜け追い越せ』で
完全に今、何千年築き上げたものを見失っている。
だんだん良くなって来てるのかもしれないが、
それがアジアの現状である。
経済的には豊かになったかもしれないが、
文化的にはまだまだ貧困である。

今、欧米に誇れるアジアの文化は何なのか?

darkhorse-000401L.jpg

今、欧米に誇れるアジアの文化はこれ!これ?
『どーもくん』

今回もアメリカ滞在で気になったのが、
『クール・ジャパン』といわれている、よくわからん『日本文化の流行』である。
これがここ数年どんどんすごくなってきている。
単なるサブカルチャーではなくなって来た!
『SAMURAI』『GEISHA』『SUSHI』はもうアメリカでは飽きられ、
今は『雑多な日本文化』が世界的には『クール』で『ネオ・カルチャー』なのである。
世界的なジャパニメーションブームから発信した『クール・ジャパン』だが、
びっくりする程のアメリカの生活の中への浸透率である。
アメリカの何処にでもあるショッピングモールには
必ずと言って良い程の『キティーちゃん』等の
ジャパニーズ・キャラクター・ショップがある。
今まではグロテスクなキャラクターしか無かったアメリカのキャラクターショップに
日本の『ゆるキャラ』が浸透し始めている。
伊丹谷はアメリカのグロテスクなキャラクターが好きで、
おもちゃやに行くのが趣味であるが、
最近のアメリカのキャラクターはどんどん日本化している。
10年前までのアメリカでは考えれない。
キティーちゃん以外にNHKのキャラクター『どーもくん』が大流行している。
あん?なんでどーもくんやねんっ!
子供だけでなく、
『キティーちゃん』や『どーもくん』等の日本のゆるキャラの入れ墨が
身体中に入っているねーちゃんを何人か見かけた時には
はんぁ???こいつら大丈夫か???
もぅ腰が抜けるかと思った…
おそるべし、クール・ジャパン…
未だにアメリカでは日本人と中国人の見分けがあまりつかない現状にも関わらず、
良いか悪いかは別としてこれはこれで日本の文化の浸透として大したものである。
これはこれで… あっぱれ日本!

「どーもくん」世界で人気(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/tv/20080605et09.htm

images.jpeg

MDgwNDE0MWOR.jpg

これは単なる流行でなく、
日本が昭和の時代から築きあげた努力の評価でもあると思う。
この数十年の日本のアニメーションやキャラクター文化を作って来た
デザイナーや職人さん達、制作者達がいかに努力し、いかに素晴らしかったというアカシでもある。
まだまだ『井の中の蛙大国日本』といえども、キティーちゃんやどーもくんを始め、
日本のアニメーション業界、キャラクター業界は素晴らしい。
ファッション界、スポーツ界でも日本人は世界に成果を出し始めている。
日本の音楽業界ももっともっと羽ばたかねば!
これだけ経済も成長した日本にもかかわらず、
音楽シーンはまだまだ世界に通じる音楽を作れていないのが現状である。
世界中の楽器等のハード産業は日本で作られているものが多くなったのに、
曲・バンド・アーティストのソフト産業は全然まだ世界に羽ばたいていない…

DSC00170.JPG

10年前に大学院の時の論文で
『21世紀のアジアのエンターテイメント』
という論文内容を書いた。
その内容は『いつの日か欧米とアジアの文化がひっくり返る』
というむちゃくちゃな論文内容を真面目に書いた。
当時は『それはあり得ない』という感じもあったが、
この10年で実際に見えない所でひっくり返って来ている現状も色々ある。
『どーもくん』もその一つかもしれない。
今回のアメリカ滞在でもそれを大きく感じた。
今から2020年まで、より大きな変化があると感じている。
そういった意味では今後10年、
我々、作品をアウトプットしていく日本人アーティストに、
国内外問わず、もっともっと世界中の人をワクワクさせられるような
一人一人にポジティブな『新たなものつくりの意識』がないといけないと思う…

さて、今後、アジアと欧米の文化はどう変化して行くのか?
今後の『へんてこりんな2011年〜2020年までの地球の文化』
をリアルタイムでアーティストとして生きれる事が
幸せであり、楽しみにで仕方ない。

DSC00168.JPG

ということで、今回のロス・べガスの滞在は最高でした!
この滞在が何かいろんな事に結びつくような気がしています。
そして、今回『一緒にロスとベガスに行かへんか!』と誘ってくれた
HATAKEさんにも感謝します!

ありがとう ロス・ベガス!

| Asian Act Top |